身寄りなし。身分証なし。金なし。そんな優良人物をSNSを駆使して探し出すのがマモルの仕事だ。狙うは戸籍。女性を装い言葉巧みに相手の個人情報を引き出して、売買が成立すれば報酬をもらえる。
ある日、マモルは上司から不可解な指示を受ける。
タクヤと距離を置け。自分にこの仕事を紹介してくれた先輩に、なにが起きたのか。翌日、タクヤの部屋の掃除を命じられたマモルが見たのは、おびただしい数の血痕だった。もう、タクヤはこの世にいない。悲しみにくれるマモルに一通のメールが届いた。それは、タクヤからのメッセージだった━━。
戸籍ビジネスの闇に蠢く半グレを描いた新時代のクライム群像劇!
身寄りなし。身分証なし。金なし。そんな優良人物をSNSを駆使して探し出すのがマモルの仕事だ。狙うは戸籍。女性を装い言葉巧みに相手の個人情報を引き出して、売買が成立すれば報酬をもらえる。
ある日、マモルは上司から不可解な指示を受ける。
タクヤと距離を置け。自分にこの仕事を紹介してくれた先輩に、なにが起きたのか。翌日、タクヤの部屋の掃除を命じられたマモルが見たのは、おびただしい数の血痕だった。もう、タクヤはこの世にいない。悲しみにくれるマモルに一通のメールが届いた。それは、タクヤからのメッセージだった━━。
戸籍ビジネスの闇に蠢く半グレを描いた新時代のクライム群像劇!
タクヤ
身寄りのない男たちを利用して戸籍売買ビジネスで稼ぐ。マモルを弟のように可愛がっている。
柿崎護
(マモル)
五人兄弟の末っ子、小学校に上がる前に両親は揃って蒸発。タクヤに誘われ戸籍売買ビジネスの世界に足を踏み入れる。
梶谷剣士
裏社会の運び屋で、かつてタクヤを“闇ビジネス”に誘い、戸籍売買の仕事を教えた兄貴的存在。
槇原希沙良
タクヤの仕事仲間。実際に男性と接触をする際“オトシ”役を担う。
江口春翔
(谷口ゆうと)
タクヤに戸籍を売り、現在は「谷口ゆうと」としてネットカフェで働く。
「デビュー作とは思えない筆致。同業者としては恐ろしい新人が出て来た」葉真中顕(作家)
「デビュー作とは思えない筆致。同業者としては恐ろしい新人が出て来た」葉真中顕(作家)
『愚か者の身分』
(徳間文庫)
文庫版特別書下し短篇収録!
著者:西尾潤
刊行年:2021年5月
定価:792円(税込)
判型:文庫判
ページ数:352P
ISBN:978-4-19-894648-7
『人は生まれる身分を選べない。では、それが売買できるとしたら——?』本作は現代社会に潜む歪みと、そこに翻弄される人間たちの姿を描いた物語で、自身のデビュー作です。ひっそりと一人の部屋で生まれたキャラクターたちが、こうして永田監督のもとにたくさんの人と出会い、映像化されたことは、今でも夢の中の出来事のよう。善と悪、欲望と絶望の狭間で揺れる青年たちの選択を、ぜひ劇場で見届けてください。スクリーンに現れたマモル、タクヤ、梶谷は、原作者の中で動いていた時よりも、遥かに魅力的な愚か者でした!
失うものなど何も無くなった男たちが、それでも生きようとする映画です。林裕太さん、北村匠海、綾野剛さん、3つの世代の想いのリレーのように感じられた撮影期間。剛さんから僕へ、僕から裕太へ。その先に「裕太」は、「マモル」は何を思うのか。映画館で是非感じて欲しいです。
この数年、若者の深刻な貧困や犯罪を私自身も目の当たりにし、何か表現できないかと考えていたところ、西尾潤さんの原作と出会い、これだ!と企画しました。私にとって初となる男たちの物語を素晴らしい役者たちが彩ってくれています。経験に裏打ちされた深みと純粋さが同居し、画面に映った瞬間ハッとさせられる存在感を放つ北村匠海。芝居をどこまでも追求し物語に深みを与えてくれた綾野剛。等身大の繊細な表情で私の心を鷲掴みにしてくれた林裕太。日本の社会問題を露わにしつつエンターテイメントに仕上げた渾身の一作です。